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Work #34

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「villaのように暮らしたい。」それがクライアントの要望であった。敷地は、静かな住宅地を抜けた、緑豊かな山林に囲まれ、遠目に相模湾を望む崖の先端に位置している。まさにクライアントの希望を満足する理想の立地条件であった。villaとは本来、別荘や庭付きの大きな郊外邸宅をさすが、わたしはこの場所で、仕事や通学等の日常にまつわる様々な行為と、安らぎや憩いなどの避暑に求められる非日常の行為を同時に満足させる空間を、住宅地で実現したかった。様々な要素がある中、西側に隣接する住宅群からのプライバシーを守りながら、最大限の魅力である山林と海を関係づけ、それが家族の抑揚をもたらす場となればよいと考えた。まず、敷地全体をシンプルなホボリュームで包み込み、周囲の山林と呼応した稜線のような佇まいとする。そのように立体化された敷地の中央にメインである居住スペースを配置し、それが、南の海への眺望、北の森の借景に対峙しながら、内から外、そして周辺へと少しずつ移行する内外のグラデーションを造り出し、場を設えることで、風景を違った角度で体感できる家族の居場所となればよいと考えた。内部構成は立体 的に風景を楽しむことができるよう、地形に応じたスキップ形式となっている。北側は、森の静かな借景を感じる場とした。ゲートのようなファサードをくぐると立体化された前庭が居住スペースへと導き、さがなら森に入ったような場の変化をもたらす。北のテラスは切り取られた森と空を感じる落ち着きのあるプライベートな屋外空間とした。南側は、遠目に相模湾の眺望を楽しめるような舞台のような「ハレ」の場とした 。深い軒と、敷地をつつみこむファサードは、海向かって、そのボリュームをフェードアウトし、森と溶け込み、水平に視線を導く。その庭と連続する1Fの居間は、勾配形状の大空間とし、大開口部をもつ半外部のような土間の設えとした。相模湾を望む展望のような2Fのパブリックテラスは、さながら船の先端から大自然を望むようだ。敷地の最南端に設けたプールは水盤のような役割を果たし、木々と空を映しこみ、夜は水門をつくり出し、風景に溶け込む。ここ は、外部と内部という明確な場のヒエラルキーは無く、すべて等価値な居場所となっている。環境に対峙したそれぞれの風景を作り足すことで、敷地全体に居場所が生まれ、様々なシークエンスをもつ「場」が生まれる。そのことで、家族の日常と非日常を支える、みながらさながら別荘のような家族の居場所をつくり出している 。

設計:アトリエマナ
構造:馬場貴志構造設計事務所
施工:中野工務店(株)
用途:住宅
敷地面積:412.97m²
建築面積:165.65m²
延床面積:173.22m²
構造:木造/地下1+地上2階建

施工地域
神奈川県(日本)
カテゴリー
戸建/別荘
河内 真菜}

Architect

河内 真菜

atelier mana