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Work #117

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日本を代表する伝統工芸作家7名と共に創る紡ぐべき家

庭と室内を繋ぐ深い軒の奥には、深く薄暗い部屋があり、そこから明るい庭を眺め、夜は行燈の光で過ごす。日本では永くそのような空間で、人々の生活が続いてきた。谷崎潤一郎の”陰翳礼賛”で語られる、薄暗い中でこそ美しく、心地よく感じる素材や設え。そして、庭屋一如と言われる、外と中との関係。その伝統と、私たち日本人が自ずと持つ感性を、そして手仕事の温もりを感じられる素材や設えを多用することが、真に心休まる場所の創出に繋がる。

このプロジェクトでは、そのような日本人が古来より持っている感性・感覚を最大限に表現したいと思った。日本文化を改めつつ様々なカルチャーを融合させ、心地よい居住空間を目指して設計をした。明暗のコントラストを強く意識し、弱い光の美しさを表現する落ち着いた空間と、強い光が落ちる活動的な空間を明確に分離しつつ、光の美しさを追求し、艶のある空気感としている。

自然界から供給される土や木が日本の伝統職人により、様々な建築表現となり、そこに美しい光を落とし込むことでより深みのある空間となる。今プロジェクトでは日本の伝統職人作家、数寄屋・左官・和紙・組子・組紐・建具・漆塗りの7名との協働が命題となっており、各々の強いキャラクターを一つのものに昇華させていくことは容易ではなかったが、独特の空気感を纏う空間となった。

日本が継承すべき、紡ぐべき家とは、日本文化の背景を理解し、先人の技術や工夫に敬意を現しながら、次なる世代に渡していける家なのではないかと思う。そういったコンセプトが凝縮されつつ、和のラグジュアリーを提案している。

世界で活躍する職人とのコラボレーションは膨大な労力を要したものの、とても刺激的なものだった。 日本文化の真骨頂である、静謐で繊細な緊張感のある空間でありながら、そこはかとなく美しい日本の侘びと寂を感じる世界観も実現できたのでなないかと思う。

タイプ: 展示住宅
延床面積: 327.24 m²
担当: 設計
建物構造:RC+木造

施主:AQURA HOME”AQ PRIME PROJECT”

コラボレーション
組子:横田 栄一
数寄屋:杉本 広近
和紙:堀木エリ子
左官:久住 有生
建具:和田 伊弘
組紐:福田 隆・隆太
うるし(輪島塗):一松 春男・聡司
インテリア(FFE): ㈱乃村工藝社 吉村峰人

建築完了:2022
建築期間:1年4ヶ月
敷地面積:195.49 m²
建築面積:139.90 m²
延床面積:327.24 m²
施工会社:株式会社アキュラホーム・株式会社工藝舎JV

施工地域
東京都世田谷区
施工年
2022
カテゴリー
戸建/別荘
猿田 仁視}

Architect

猿田 仁視

HITOSHI SARUTA