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Work #20

瀬戸内の家

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瀬戸内海が眼下に広がる山腹。南東の尾道水道から南西に目を向ければ、瀬戸田をはじめ大小の島々を遠くまで臨むことができる。北西側には瀬戸内海国立公園に指定されている筆影山を背負い、森の空気が清々しい。この場所では鳥のさえずりや木の葉のそよぎが耳に心地よい。坂道を登りこの敷地に到達すると、目の前にひらける風景に思わず息をのむ。敷地はかなりの高台にあり、この建物の2階から視界を遮るものは何もない。我々は、この場所にふさわしい家を建てようと考えた。美しい景観を最大限に享受できる家である。
建物は、鉄筋コンクリートと鉄骨造の2階建。1階をコンクリートの閉じた箱とし、寝室とサニタリー、スモールリビングによって構成。箱の上部〜2階部分には、リビングおよびダイニングキッチン・書斎スペースを配置している。2階スペースは、これといった間仕切りは設けていない。あえて言うなら吹き抜けの中庭、ガラス越しのシンボルツリーがその役割を担っている。壁面には360度、水平窓を設けた。「窓」というより「ガラスの壁」という発想である。建て物を取り囲む景観は全てが魅力的であり、どの側面に対しても閉じる理由が見つからなかった。
景色を堪能しようと思えば、余計なものは何一ついらない。サッシの枠さえも風景を分断してしまう。よって、この枠を天井からの下がり壁の小口に隠すことにした。カーテンも適さないと判断し、障子を選択。さらにその障子も横のスライドではなく上下のスライドとし、サッシ枠同様下がり壁の中に格納した。ガラス下・床面から30㎝の立ち上がりは、ここで過ごす人々の自由な寛ぎ場所である。好きな場所で好きな風景を眺め、好きなコーナーで、好きなことを楽しめる。キッチンはステンレス製を採用。美しさを保てるという機能に合わせ、その硬質な印象が窓外の緑をより一層引き立てると考えた。
ここでは「時」を存分に堪能することが出来る。四季の移ろい・一日の移ろい・天気の移ろい〜空と海、木々の色彩と影が、時を教えてくれる。陽がある時間帯のパノラマ的な美しさは格別であるが、月夜の晩も殊更に美しい。水面に映る白光は静謐であり、眼下の小さな町灯りと相まって趣深い。室内灯を消して月あかりに過ごせば、美しい異空間を感じることができるだろう。月のない夜にはキャンドルを灯しても素敵である。炎のゆらめきは四方のガラスに幾重にも映り込み、昼間とは違った表情を醸しだす。
この建物は、敷地に委ねる感覚を大切にしながら計画されている。設計の中で建て物に対しての造作を吟味し、余分なものは引き算しながら造り上げてきた。美しい環境と建物を一体化させることに重きを置いた結果、一見モダンではあるが落ち着いた空間を構成することができた。景色を満喫できる空間での暮らし方〜その自由性の高さを大切にすることで、建物はおのずとシンプルな構成となった。
自然の原風景や瀬戸内海を往来する船を生活の一部に取り込み、ゆったりとした時間の流れに身をゆだねる。ここに暮らす豊かさや安らぎを、この建物を通して提供していけたら幸いである。

施工地域
広島県三原市(日本)
施工年
2008
カテゴリー
戸建/別荘
カテゴリー
戸建/別荘
河口 佳介}

Architect

河口 佳介

K2-DESIGN・ARCHITECT&ASSOCIATES