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Work #50

Shell

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・・・・林の中に巨大な貝殻のような構造体が落ちている。その構造体は何かわからないが明らかに周囲の自然の一部(岩や洞窟)ではない。いわゆる廃墟でもない。何か全く別の場所で別の目的に作られた構造体の一部。その中に床を張り、間仕切りを建て、家具を造作して住んでいる・・・・SF映画で土着の住人が墜落した宇宙船の残骸の中に住込んでいるようなイメージ。ただ、その構造物は既に長い間そこにあるので、それを避けて樹木が育ち風景に完全に溶け込んでいる・・・・。
・・・・建物が長い間使用され、朽ちることなく自然の一部として土地に溶け込んでいってほしいと考えるうちに、(コンクリートのシェルを地表に浮かせて置いたイメージと共に)こんな情景にたどり着いた。

土地に溶け込んでいくとは、朽ちるように同化するのではなく、いつまでも在り続けてこそ溶け込んでいくものと思う。
建物が長い間愛され続けその地に溶け込んでいく為には、自然への抵抗力を持つ必要があると感じた。生活空間を自然から隔離し保護するシェルターとしての性能を高めることで、家自身も自然から保護され快適な空間を提供し続けられる。その結果、長期間愛され手入れされ使用され続ける。特に別荘の場合、快適に頻繁に使用してもらえることで、結果的にその地に溶け込んでいくものと思う。

この地域の自然は案外厳しい。寒いし、湿度も高い。地域の多くの建物は下見板貼りの木造の家だが、それらは皆朽ちていて森に同化しているものの決して快適そうではない。そのため別荘として建てられたものの多くはもう何十年も使われておらず、廃墟化しているものが多い。地域ではコンクリートの建物をタブー視する傾向もあるようだが、湿度の多い地表から建物を浮かせたい、しかも朽ちない躯体で、とつくづく実感した。

自然との境界を曖昧にし同化することを善しとする日本的な自然との関係は、繊細な瀬戸際の攻防を日々継続することで成り立っていると思う。毎日の生活の場であればこれを維持することが出来るが、別荘の場合は快適でなければ行かなくなるだけだ。別荘に手入れの為に来る、または別荘に来ても半分は掃除や手入れをして終わってしまうというのでは直ぐに使わなくなってしまう。自然と同化する生活は理想的かもしれないが、それは毎日そのために時間を費やせる状況になってから・・・ということなのかもしれない。

また週末住居という余暇のための場であるから、ただ機能を必要十分に果たせばよいというわけではない。滞在中に心を豊かにし英気を養う空間として、自然と一体になって一日眺めていても飽きない風景を作り出す。現代彫刻のように周囲の自然をも豊かにし、またそれを内包空間に有機的に引きずり込む、そんな建築を目指した。

構造:RC造
敷地面積:1711m²
延床面積:329m²

施工地域
長野県軽井沢(日本)
施工年
2008
カテゴリー
戸建/別荘
井手 孝太郎}

Architect

井手 孝太郎

ARTechnic architects